最近では、内定後のフォロー不足解消や入社意欲の向上を目的として、内定式前に懇親イベントや座談会などを設ける企業が増えています。

そのなかで「もっと気軽で確実に仲を深められる方法はないか?」と頭を悩ませる人事担当者も多いはず。

そんなときにおすすめしたいのが「ボードゲーム」の活用です。ボードゲームは、ただの余興にとどまらず、短時間で関係構築が進み、協力やコミュニケーションの土台を自然に育む優れたツールです。

特に、内定式前という“まだちょっと遠慮しがちな”タイミングでは、自分から積極的に話すことができない人も多いため、ルールの中で自然と会話が生まれるボードゲームが最適です。

この記事では、人見知りな学生でも安心して参加でき、楽しみながら相互理解が深まるボードゲームを難易度別に4つご紹介します。

お互いの価値観を共有できる「バリューズカード」

難易度:★☆☆(初心者向け/感情・価値観の共有が主目的)

バリューズカードは、自分自身の価値観を見つめ直しつつ、相手に伝えることで対話のきっかけを生み出すゲーム型ツールです。 自分の考えを整理したり、これから一緒に働くメンバーのことを理解するには最適なので、多くの企業の懇親会イベントに使用されています。

▶ ポイント

ゲームで使うのは「様々な価値観が書いてあるカード」だけ!
このようにはじめに配られる5枚のカードと新しく引いた1枚のカードの中から「最も自分の価値観から遠い」カードを1枚捨てていきます。

6枚の手札から遠い価値観のカードを1枚選びます

「僕は“愛”のカードがいらないので、これ捨てますね。」

「“愛”が必要ない…!?」

“愛の”カードを1枚捨てました

カードは自分のターンになったら毎回引いて捨ててを繰り返すので、常に自分が本当に必要だと思う価値観が何かを考え続けることになります。捨てられたカードは全員知ることができるので、自分にとってはとても必要なのに相手にとっては必要ない価値観が浮き彫りになってきます。

これだと思う5枚のキーワードが揃ったら、最後に自身の価値観について各々が発表をしていきます。

「僕は“挑戦”と“成長”を大事にしてます。理由は…」

「えー!意外!何となくもっと安定志向だと思ってた!」

「まぁ昔はそうだったんだけど、今は…」

このように、「自分との対話」と「相手との対話」がゲームの中で自然に生まれるため、お互いの意外な一面に驚き、深く共感することができます。

内定者同士はもちろん、内定者と先輩社員との交流にも使うことができ、その「価値観のギャップ」をあえて知ることで、多様性を受け入れたり会社での共通言語を作り上げることにもつながります。

▶ ゲーム情報

  • 参加人数目安:2人~6人(グループ制で複数並行可能)
  • 所要時間:1グループあたり20〜30分程度

▶ 進め方

  1. カードをよく混ぜ、1人5枚ずつ配ります。
  2. 残ったカードは伏せた状態で山札にします。
  3. 最初の人は山札からカードを1枚引き、手元のカードを合わせて自分の価値観から一番遠いカードを捨てます。
  4. 自分の順番になったら、山札か他のメンバーが捨てたカードから1枚引き、大事な価値観を手元に残します。
  5. 山札がなくなったら、最後まで残ったカードをメンバーにプレゼン!

№2:お題に沿って話すだけで価値観を共有できる「ワークアウト」

難易度:★☆☆(初心者向け/感情・自己開示が主目的)

「その回答であれば、もしかしたら私の回答とも共通点あるかも」

「私はこれを先輩から教えてもらって……」「実は私も先輩から同じようなアドバイスもらったの!」

▶ ポイント

「ワークアウト」は、理由まで含めて語ることで、認識できる部分(会話)だけでなく背景の共有(体験や経験)ができ、自己開示が自然に行える点が特長です。 距離感のある内定式前フェーズでも安心して使える自己開示・交流促進ツールです。

▶ ゲーム情報

  • 参加人数目安:3人~4人(グループ制で複数並行可能)
  • 所要時間:1グループあたり30〜40分程度

▶ 進め方

  1. メンバーは山札からお題を選び、お題に対しての回答を3つ用意する
  2. 順番に1つづつ開示し、その時に理由も一緒に話す
  3. 同じような内容を書いている人は自分の回答も開示し、回答背景を共有
    1. この時、共通点があった証として自分のチップと相手のチップを交換
  4. すべての回答がオープンになるまで繰り返していく
    1. 「チップを交換する」というアクションがあることで、参加者同士が前のめりに共通点を探しながら会話を展開していきます。

№3:思考スタイルが見える「コードネーム」

難易度:★★☆(中級/言語センスと戦略思考)

「ヒントは“地球”…3つあります」

「え、どれ?宇宙?砂漠?ロケット?」

「実はあの時のヒントはこういう理由だったんだよね」「すごい!その視点はなかった!」

▶ ポイント

「コードネーム」は、言語化力・連携力・戦略的思考の可視化に優れています。 “伝える”と“汲み取る”のズレを体験できる点が、チームビルディング初期にぴったりです。 オンライン版もあり、遠方の参加者とも実施しやすい点もメリットです。

短時間でロジックと思いつきをフル活用しなければならず、チーム内の情報共有意思決定のプロセスが可視化されます。

また、プレイ後もお互いに感想を言い合うことでさらなる相互理解も期待できます。

▶ ゲーム情報

  • 参加人数目安:4〜8人(2チーム制/拡張版で10人以上も可)
  • 所要時間:1ゲーム約15〜20分(複数回プレイも推奨)

▶ 進め方

  1. 2チームに分かれ、各チームのスパイマスターを決定
  2. スパイマスターが単語+枚数のヒントを提示
  3. チームはそのヒントから該当するカードを選び、めくる
  4. カードにより得点/相手の得点/ターン終了/敗北が決まる
  5. 全カードをめくるか、NGワード(暗殺者)を引くまで継続

№4:チームで危機を乗り越える「パンデミック」

難易度:★★★(上級者向け/リーダーシップと役割分担)

「次、感染拡大来るよね…」

「リサーチャー役の△△さん、アフリカ圏優先で!」

「了解、じゃあ自分はバンコクに移動します!」

▶ ポイント

「パンデミック」は、リーダーシップとメンバーシップが同時に鍛えられる設計です。 シビアな状況でも“本気で協力し合う”体験を通じて、実践的な組織行動を疑似体験できます。

合意形成・役割分担・優先順位判断など、実際のプロジェクト行動に通じるチームダイナミクスが自然と発揮されます。

▶ ゲーム情報

  • 参加人数目安:2〜4人(最大5人/複数卓で並行プレイが理想)
  • 所要時間:1ゲーム約45分(ルール説明含め60分見込み)

▶ 進め方

  1. 感染カードやコマ、役職(科学者・通信指令員など)を準備
  2. 各プレイヤーはカードを受け取り、4つのアクションを選択して実行
  3. 感染拡大や治療薬の発見を進めながら、全員で協力してゲームクリアを目指す

まとめ:ゲームが「対話と共創のはじまり」になる

内定式前というタイミングでのボードゲーム活用には、単なるアイスブレイク以上の価値があります。

  • 内定者同士の心理的安全性をつくる
  • 内定者同士や先輩社員との壁をなくし、フラットな対話を促す
  • 価値観・行動傾向の“違い”を楽しみながら受容する
  • チームでの動き方・役割の在り方を体験的に学ぶ

“遊び”を通して、メンバーの関係性や文化の土台を作っておくことで、その後の研修や現場配属が格段にスムーズになります。

活用例(シチュエーション別)

シーンおすすめゲーム理由
はじめての懇親バリューズカードシンプルかつ深い会話が生まれやすい
小人数での座談会ワークアウト共通点発見&自己開示がしやすい
オンライン交流コードネーム無料オンライン版あり・テンポ良く進行可能
本気のチームづくりパンデミックリーダーシップとチーム協力が自然に求められる